タグ / 文明論

記事
「日本よ、森の環境国家たれ」安田喜憲 中公叢書 [2014/11/05 23:45]
世界の文明を家畜の文明と森の文明に分けて対比させ、前者は自然の資源を搾取する文明であり、後者は自然と人間が循環的に永続的に生きる文明であると論じる。家畜の文明が勢力を拡大してきた歴史を批判して、森の文明を取り戻すことを提唱している。生態学的な文明観を整理し直した内容であり、持続可能性の議論ともあわせて文明のあり方を改めて考えさせられた。 6000年前に乳絞りと去勢の技術によって牧畜の生活様式が完成し、青銅器の利用によって馬具が発達した。4000年前の寒冷・乾燥期に、ユー..
「水が世界を支配する」スティーブン ソロモン [2013/03/09 23:45]
飲料水や農業・産業用水、そのための運河や水道、衛生といったテーマが主体と思いきや、内容は水力のエネルギー利用や水運・海運にまで及んでおり、ややテーマを広げ過ぎの印象もある。歴史を扱った第3部までは文明史的内容だが、第4部では現代社会の水問題を取り上げている。 ・河川の灌漑が必要な地域では大規模な政府が発達するが、水の入手が簡単な地域では分権型の体制となる(p.169:Cannibals and Kings: Origins of Cultures: Marvin Har..
「「豊かさ」の誕生」ウィリアム バーンスタイン [2012/11/16 23:45]
「豊かさ」は、私有財産制、科学的合理主義、資本市場、効率的な輸送・通信手段の4つの要素から成ると論じる。それぞれの要素が豊かさに果たした役割を説明する第1部は記述的だが、それらが各国・地域で適用されたか否かと経済発展の結果を歴史的に検証した第2部は説得力があった。 第3部では、幸福感をテーマに政治制度や経済力、格差との関係について検討している。経済力は幸福感の要因であるが、格差は幸福感の負の要因となる。豊かさを他人と比較しようとする意識は、食料を平等に分け合ってきた数百..
「文明の海洋史観」川勝 平太 [2012/06/11 23:45]
梅棹氏の生態史観の地図の修正を試みている部分に興味を持ったのがきっかけ。海洋貿易の視点から世界の歴史の転換を論じている。 9〜11世紀のフランク帝国は内陸国家だったため、土地が唯一の富の源泉である封建制を生み出さざるを得なかった。ヴェネチアが1378年のキオジア海戦でジェノヴァを破ってイスラム制海権下にあった東地中海を支配したことが中世の終焉をもたらした。 14世紀半ばから150年間にわたってヨーロッパを襲った疫病により、中世の権威であった宗教に対する懐疑が生まれ..