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「古代インドの思想」山下博司 ちくま新書 [2016/02/12 23:45]
思想・宗教の内容というより、それが生まれた自然環境や歴史的経緯を中心に解説している。モンスーン気候によって育まれた植物に囲まれ、それに馴化し同化する生き方や輪廻の考え方が生まれたこと、遊牧民族だったアーリア人が定住して農耕生活に変わる過程で、信仰の対象が天から地界へと変化し、都市の発展によって自由な思想活動から仏教やジャイナ教が生まれたとしている。 インドでは、非常に多湿な赤道西風が夏季には北上して南西モンスーンとなるが、冬季は東風帯に入って乾燥する。デカン高原の土壌は..
「ヒトはなぜヒトを食べたか」マーヴィン・ハリス [2014/07/13 23:45]
マーヴィン・ハリスの時代は環境決定論として批判されることが多かったようだが、今はジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」が評価されるなど風向きは変わった感がある。旧世界では飼育動物が文明の発展に大きな役割を果たした一方で、新世界では飼育可能な動物を絶滅させてしまったことが旧世界の遅れをとる要因となったことは、この本でもすでに論じられている。中東でブタを、インドでウシを食べることが禁忌となった理由も、生態学的・歴史的に説明されている。 3万年前の平均身長は、成人男性が1..
「竹の民俗誌」沖浦和光 岩波新書 [2013/10/26 23:45]
民具などとしての利用が主な内容と思いきや、成長が速く稈に空洞があることなどから霊力のある植物とみなされてきたとか、竹の原産地と考えられる九州の隼人と朝廷との関わり、竹取物語に読み解くことができる伝説など、興味深い内容が多かった。 生態と利用 ・地下茎は網のように張り巡らしているので、山崩れ、水害、地震にすこぶる強い。地下茎は夏と秋、若竹は冬から春にかけて成長する。春先に紅葉し、秋に新葉が茂る。 ・竹の葉芽には殺菌力があって防腐効果がある。油分が多いので火力は強い。 ..
「肉食の思想」鯖田豊之 中公新書 [2011/10/14 23:45]
欧州の文化を日本からの視点で考察するために、食という切り口を用いている。 欧州において肉食の割合が高く穀物の割合が低い理由について、夏に少雨で冬に多雨な気候、家畜を放牧すれば成長できるだけの牧草が生えること、農業に適さない土地であることをあげる。また、家畜を屠殺したり、生殖行動をまじかに見る生活を送るために、人間と動物の断絶を意識的につくり、人間中心主義の思想が生まれた。キリスト教は人々の結婚について厳しく取り締まり、人間中心主義の思想は他宗教信仰者への差別や階級社会、..
「食と文化の謎」マーヴィン・ハリス [2011/08/12 23:45]
地域によって食される食物やタブーとされる食物が異なるのは、エネルギーや栄養素の摂取や、獲得に要する時間や労力と得られる利益との差、環境への影響、人口密度などが異なるからであるという立場が貫かれている。説得力もあり、食文化とその背景の全体像をつかむことができた。 インドで牛肉が食べられなくなったのは、人口増加と森林の縮小のためで、乳牛は牛肉よりもカロリーや蛋白質が得られる効率が高く、雄牛は鋤を引く農作業に欠かせないことから大切にされるようになった。 反芻してセルロー..