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『日本文明と近代西洋』川勝平太 NHKブックス [2016/10/22 23:45]
幕末の開国当時、国際的に取引されていた主要商品は、すべて国内で自給できていたことが、自由貿易でも日本がアジア中枢部との競争に勝つことができたという内容。銀の流出を止めるために商品の国産化を推進して成功し、鎖国をしていたにも関わらず国内の経済は活性だったことがわかる。 中世末から近世初期にかけて、日本とヨーロッパは多くの物産を、それ以前からアラビアから中国まで広がっていたアジア貿易圏から輸入した。ヨーロッパが提供できたのは、武器とラテン・アメリカから掠奪した金銀しかなく、..
「日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】」竹村公太郎 PHP文庫 [2016/05/26 23:45]
著者は建設省で主にダム・河川事業を担当した方。インフラが地形や気象に立脚し、文明を支えているという視点で論じているのが面白い。 後藤新平は岩手県水沢市に生まれ、自費でドイツに留学してコッホ研究所で博士号を取得した。台湾総督府民政長官、満鉄初代総裁、逓信大臣、内務大臣、外務大臣を務めた後、東京市長に就任し、シベリア出兵時に毒ガスとして開発された液体塩素を転用して、大正10年に水道水の塩素殺菌を始めた。これを機に、国内の乳児死亡率が劇的に減少し、平均寿命が改善することになっ..
「岩崎弥太郎と三菱四代」河合敦 幻冬舎新書 [2015/07/02 23:45]
岩崎弥太郎が三菱を創設するまでの経緯のほか、それを継いだ岩崎家3代が三菱を発展させていった経緯も学べるお得な本。明治時代の経営者が、利益よりも国家の発展を重視したことも描かれていて、日本の資本主義黎明期の様子も伝わってくる。 弥太郎は、1834年に藩士の身分を失った武士の家に生まれた。20歳のときに両親に反対されながらも江戸に遊学するが、1年も経たないうちに父親が暴行された知らせを受けて帰郷する。25歳で長崎の役職を得て様々な人脈を培うが、遊郭に通って公金を使い込んだた..
「戦後史の正体」孫崎 享 [2015/05/26 23:45]
著者は外務省OB。敗戦後の占領時代以降の日米関係の実態を暴いている。 戦後初の総選挙で勝利した鳩山一郎総裁は、組閣直前にGHQに公職追放された。代わりに首相になった吉田茂が憲法を発布し、施行を見とどけた後で辞任した。日本国憲法のもとで行われた総選挙の結果選ばれた片山哲は、左派過ぎる平野農相の解任を求められて従った結果、平野派の支持を失って総辞職に追い込まれた。片山の後を継いだ芦田均は、GHQ参謀第2部(G2)が摘発した昭和電工事件で総辞職に追い込まれた。 占領下で..
「中国化する日本」與那覇 潤 [2015/05/06 23:45]
中国脅威論のようなタイトルだが、内容は日本を主題にした中世以降の歴史。中国の宋の時代(960〜1279年)に貴族制度を廃止して官僚は科挙によって広く集め、郡県制によって皇帝に権力を集中させ、経済を自由化した社会を著者は独自に「中国化」とし、身分制を敷いてムラとイエで個人を縛ばる代わりに、誰もがそこそこ満足できた日本の江戸時代をその対極に位置づけている。 南宋時代に朱熹によって大成された朱子学の思想が、皇帝の権力基盤や科挙選抜の理念として用いられた。火薬・羅針盤・活版印刷..
「歴史をつかむ技法」山本博文 [2015/02/19 23:45]
歴史学の視点から史実と様々な説について、きちんと整理しているのはありがたい。古代から中世、中世から近世の転換期について丁寧に説明しているのも、歴史の流れをつかむのに役立った。 さきたま古墳群から出土した鉄剣に書かれた「ワカタケル大王」は、熊本県の江田船山古墳から出土した鉄剣に書かれた名前も同じと考えられており、五世紀に九州から関東に及ぶ政権があったことが判明している。宋書の倭人伝に書かれている「倭の五王」の武が、日本書紀に大泊瀬幼武(ワカタケル大王)と書かれた雄略大王と..