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『人類進化の謎を解き明かす』ロビン・ダンバー [2017/03/02 23:45]
摂食と移動、社交、休息に必要な時間収支モデルを使って、人類の進化を考察する。霊長類では、社交時間と集団規模は正比例する。生息地の豊かさ(降雨量に依存する)と集団の規模によって移動時間が決まり、それが大型霊長類の生物地理学的分布の制限要因となる。 人差し指の長さの薬指に対する比率(2D:4D)は、胎児が子宮内でさらされたテストステロン濃度の影響を受ける。オスどうしがメスを争う多婚種では2D:4D比が小さく、単婚種では1に近い。体の大きさの性差ともあわせて、現生人類につなが..
『宗教を生みだす本能』ニコラス・ウェイド [2016/11/26 23:45]
読み終えるのに時間はかかったが、内容は意外と単純だった。宗教は社会をルールに従わせるためと、戦争のために結束させるために発達したと説明する。 ドゥ・ヴァールは道徳について、共通の価値に基づいて争いを処理する集団全体のシステムから生まれる善悪についての感覚と定義する。道徳はサルや類人猿にも見られる(対立後の和解、共感、社会ルールの学習、互恵の観念)。 人間が言語を獲得すると、他人が何を知り、何をしたいかを推測する心を発達させた。自分の行動を集団に示して評判を高めるこ..
「人類の起源論争」エレイン・モーガン [2015/02/03 23:45]
著者は文学出身ながら、よくぞここまで集めたと思わせる情報をまとめあげて、初期の人類進化の大きなビジョンを提示している。最後のヒヒ抗体、アファール三角地帯、ラミダス猿人の3つを組み合わせて大胆な仮説を提示している部分は、あくまで推論とは言え、圧巻であった。むしろ、構成力を要求される作家ならではとさえ思ってしまう。科学のおもしろさを改めて感じた。 アクア説とは、人類化石が見つかっていない500万年以上前の時代に、私たちの祖先は一時期、半水生生活を送っていたというもの。194..
「火の賜物」リチャード・ランガム [2014/11/18 23:45]
火を使った料理が人類進化に大きな役割を果たしたとする内容。熱を加えることによって消化率が上がることや、ヒトの消化器官が小さく、咀嚼に費やす時間が短いといった事実から、主張は十分に説得力がある。ただ、火の使用をはっきりと示す最古の遺跡が79万年前にとどまることなど、具体的な証拠に乏しく、多くが推論で構築された説であることがもどかしい感も残った。 食物に熱を加えることによって、ブドウ糖の小粒子であるグラニュールはばらばらになってゲル化する。デンプンの消化率は、熱を加えると生..
生活習慣の改善を分単位の寿命の延び縮みで考える [2013/02/07 23:45]
日経サイエンス3月号におもしろいグラフ記事が掲載されていた。 生活習慣によって健康の良し悪しがあるのは常識だが、その効果としての寿命の延び縮みが分単位で表せるようになったとのこと。寿命30分を1単位として、記事に掲載されていたものは以下の通り。 寿命が延びる習慣: 運動    +2(最初の20分) 運動    +1(以降40分ごと) 果実と野菜 +1(1.25食) 飲酒    +1(アルコール最初の10g) 寿命が縮む習慣: 体重過多  −1(適正..
「DNAでたどる日本人10万年の旅」崎谷 満 [2013/01/09 23:45]
タイトルの前面に出ているDNA系統解析を取り上げているのは第1章だけで、第2章以降では考古学・歴史学、言語学といった様々な観点から日本人のルーツについて総合的に考察している。 縄文人が華北から朝鮮半島経由でやってきたD2系統のほか、細石刃文化のC3系統、貝文文化のC1系統などで構成されること、渡来系弥生人が長江文明の末裔であること、その後の黄河文明からの渡来人とあわせて、日本人がさまざまなルーツで構成されることが明瞭に示されている。埴原氏が提唱した二重構造モデルの問題点..