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『親切な進化生物学者』オレン・ハーマン [2017/01/11 23:45]
奇数章は利他行動や群淘汰を、偶数章はジョージ・プライスの人生を追う。 ダーウィンは、アリの社会性の謎に対して「誰が利益を得るのか」という視点から、その答えを共同体だと考え、人間の社会的本能は共同体の幸福のために獲得されたものであると書いた(人間の由来)。ピョートル・クロポトキン(1842〜1921)は、ポーランドで起こった反乱が反動を受けて改革とその精神が忘れられたことに幻滅すると、満州の地理学的調査に向かい、様々な動物の相互扶助と協力を見出して、「自然淘汰はたえず競合..
「渋沢家三代」佐野眞一 文春新書 [2016/04/30 23:45]
資本主義の父と民俗学のパトロンの生涯をまとめて読めるのはお手軽と思ったが、あとがきにも書かれている通り、敬三の民俗学へのパトロネージュについてはほとんど触れられておらず、『旅する巨人』を読めとのこと。そりゃそうだ、とは思ったが、渋沢家の生い立ちから没落への歴史を学ぶことができたのはよかった。 栄一は1940年に血洗島の中ノ家に生まれた。現深谷市のこの地は中山道と利根川にも近い交通の要衝で、家はそのメリットを生かした藍玉生産で富をなした。藍の栽培に必要な干鰯は、九十九里か..
「チャールズ・ダーウィンの生涯」松永俊男 [2015/12/13 23:45]
著者は生物学史の教授で、これ以前にダーウィンの本を3冊発行している。ひとりの人物の伝記としては内容が綿密で、周囲とのやり取りからはダーウィンの人柄も伝わってくる。 祖父エラズマスは医師として活躍し、3万ポンド以上の遺産を残したほか、王立協会の会員となって科学者としても活躍した。父ロバートも医師として働いたほか、それ以上の収入を資産運用から得ていた。残した遺産は20万ポンド以上だった。エマの祖父ジョサイア・ウェジウッドは陶器製造業で成功し、遺産は50万ポンドあった。 ..
「岩崎弥太郎と三菱四代」河合敦 幻冬舎新書 [2015/07/02 23:45]
岩崎弥太郎が三菱を創設するまでの経緯のほか、それを継いだ岩崎家3代が三菱を発展させていった経緯も学べるお得な本。明治時代の経営者が、利益よりも国家の発展を重視したことも描かれていて、日本の資本主義黎明期の様子も伝わってくる。 弥太郎は、1834年に藩士の身分を失った武士の家に生まれた。20歳のときに両親に反対されながらも江戸に遊学するが、1年も経たないうちに父親が暴行された知らせを受けて帰郷する。25歳で長崎の役職を得て様々な人脈を培うが、遊郭に通って公金を使い込んだた..
「母と神童」奥田 昭則 [2014/03/11 23:45]
第1章は節の青春時代、第8章は龍を取り上げるが、残りの2〜7章は五嶋みどりとその母親節の二人三脚の物語。世界的バイオリニスト五嶋みどりの誕生の背景には、母親節の才能と極端なまでの教育熱があったことがわかる。物心つく前からバイオリンを習い始め、バイオリン以外のことは母親が面倒みてきたという生い立ちや両親の離婚に、みどりが苦悩する姿も描かれている。 節は5歳の時に母親からバイオリンを渡された。戦後間もなくの時代で、音楽ならどんな社会になっても生きていけるだろうとの思いだった..
「音楽は自由にする」坂本龍一 [2011/12/22 23:45]
雑誌「エジソン」で2007年1月から2009年3月まで連載されたもの。連載という形式だったためか、生い立ちから近年の活動に至るまでバランス良く紹介されている。また、それぞれの時代に接した音楽や音楽家などの解説の注が充実しており、同時代の音楽史をたどることもできるのも嬉しい。 生い立ちについては、坂本龍一という人物が育つまでの経緯が伝わってくる。母親が選んで入った幼稚園で初めてピアノに触れたこと、小学校に入ってからピアノを習い始めたこと、メロディが左右の手に移動するバッハ..