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『寄生虫なき病』モイセズ・ベラスケス=マノフ [2017/06/05 23:45]
アレルギーは衛生状態が改善したことによる副作用のようなものと言われているが、寄生虫や細菌の刺激を受けなくなったために免疫系が正常に機能できなくなったものであると説明する。 2000年代の初め、白血球の一種で腸内の共生細菌との平和を維持するレギュラトリーT細胞が存在することが確認された。アレルギーは、免疫反応が誤作動することではなく、免疫を制御する抑制細胞の欠如によって起こる。アレルギーを引き起こすタンパク質は主に寄生虫を構成しているものだが、寄生虫に対しては作動する抑制..
『親切な進化生物学者』オレン・ハーマン [2017/01/11 23:45]
奇数章は利他行動や群淘汰を、偶数章はジョージ・プライスの人生を追う。 ダーウィンは、アリの社会性の謎に対して「誰が利益を得るのか」という視点から、その答えを共同体だと考え、人間の社会的本能は共同体の幸福のために獲得されたものであると書いた(人間の由来)。ピョートル・クロポトキン(1842〜1921)は、ポーランドで起こった反乱が反動を受けて改革とその精神が忘れられたことに幻滅すると、満州の地理学的調査に向かい、様々な動物の相互扶助と協力を見出して、「自然淘汰はたえず競合..
「チャールズ・ダーウィンの生涯」松永俊男 [2015/12/13 23:45]
著者は生物学史の教授で、これ以前にダーウィンの本を3冊発行している。ひとりの人物の伝記としては内容が綿密で、周囲とのやり取りからはダーウィンの人柄も伝わってくる。 祖父エラズマスは医師として活躍し、3万ポンド以上の遺産を残したほか、王立協会の会員となって科学者としても活躍した。父ロバートも医師として働いたほか、それ以上の収入を資産運用から得ていた。残した遺産は20万ポンド以上だった。エマの祖父ジョサイア・ウェジウッドは陶器製造業で成功し、遺産は50万ポンドあった。 ..
「炭水化物が人類を滅ぼす」夏井 睦 光文社新書 [2015/06/02 23:45]
体型に問題意識はないのだが、後半の生物学的、人類史的な視点がおもしろそうだったので読んでみた。 国が発表している食事バランスガイドは、日本人の平均的な食事を基にして作られたもので、栄養学的な根拠はない。食品のカロリーは、食べ物とそれを食べて出た排泄物をそれぞれ燃やして発生した熱量の差を基に、人間の消化吸収率や腸内の分解効率を掛けて計算したもの。 筋肉は安静時や軽度の運動時には脂肪酸を使っている。脂肪酸からはブドウ糖に比べて1分子あたり4倍のATPが作られるため、効..
「強い者は生き残れない」吉村仁 [2015/03/16 23:45]
進化論で、これまでに研究されてきた切り口をひとつずつ整理しているような内容。著者は、環境への適応を重視し、大きな環境変動による絶滅、生存した種の適応放散、最適化を経て安定期に至ることを繰り返すイメージを提示している。グールドの断続平衡説とも合致し、長い安定期には表現型の変化を伴わない遺伝的多様性が蓄積されるとしている。 本書の大部分は進化論にまつわる様々な視点を淡々と紹介しているような内容だが、13章の後半になると人間社会の考察が始まってがぜん面白くなる。 生物に..
「迷惑な進化」シャロン モアレム, ジョナサン プリンス [2014/06/13 23:45]
前半は、中世から近世のペストが鉄をため込む病気ヘモクロマトーシスを、完新世前に発生したヤンガードリアス期が糖尿病を、マラリアがソラマメ中毒症をそれぞれ人間の遺伝子にもたらしたという話題。後半は、ジャンピング遺伝子や遺伝子のメチル化、ヘイフリック限界とテロメアといった遺伝子学の内容。エレイン・モーガンの水生類人猿説も紹介されており、得るものが多かった。 感染症の病原体のうち、宿主どうしが直接接触するか近づいた時に空気を介して移る風邪や性行為感染症は、宿主に動き回ってもらわ..