タグ / 政治

記事
『社会はなぜ左と右にわかれるのか』ジョナサン・ハイト [2018/04/19 10:37]
書名の通り政治思想が中心のテーマだが、内容は認知心理学に始まり、協力・社会集団の進化、宗教にも及ぶ。正直に言って前半は退屈だったが、後半はがぜん興味深く読んだ。 社会保守主義者が志向するエミール・デュルケーム流の社会観は、基本単位は個人より家族で、秩序、上下関係、伝統が重視される。それに対して、リベラルが擁護するジョン・スチュアート・ミル流の個人主義的な社会観は、多数者を統一体に結びつけることは困難であると考える。 すべての動物の脳に備わっているスイッチのようなも..
『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』矢部宏治 講談社現代新書 [2018/03/23 23:45]
内容は米軍基地や米軍人に対する裁判権を含む日米間の軍事関係。文体は軽く、前半はすらすら読める。後半は核心に迫るほど重くなっていくが、解き明かしていくカラクリは筋が通っている。 日本国憲法は、国連憲章との強い関連の中から生まれた。まだ太平洋戦争が始まっていない1941年8月、ルーズベルトとチャーチルは、アメリカが対日戦争に参戦することを前提として、英米が理想とする戦後世界の形を宣言した二ヵ国協定の大西洋憲章を結んだ。大西洋憲章の第8項には、武力使用の放棄、侵略的脅威を与え..
『日本会議 戦前回帰への情念』山崎雅弘 集英社新書 [2018/02/10 23:45]
政治的思想や価値観を根本的に考え直させられる団体も、その歴史を学べば目的が理解できる。 日本会議は、日本を守る会と日本を守る国民会議が統合する形で1997年に誕生した。最も重点を置く運動目標は憲法改正。 敗戦後、国家神道を日本の民主化の障害と考えたGHQは、神道指令を日本政府に送り、神道系施設や団体への資金的・人材的サポートを停止することを命じた。神社を統括していた神祇院が廃止されると、神祇院から国費補助を受けていた法人など三団体が合同して神社本庁を設立した。神道..
『右翼と左翼』浅羽通明 幻冬舎新書 [2017/12/18 23:45]
表題の2つの用語について解説するために、概説書や入門書を資料としてまとめられたもの。元はフランス革命に遡るが、その間にも分裂などの変遷があったとか、他国との関係が変化するにつれてナショナリズムの形も変化してきたことが説明される。日本では、政治や経済の軸の対立よりも、外交・安全保障の軸の対立が強かったことや、最近は文化の軸も加わっていると整理されているのがわかりやすい。 絶対王政時代のフランスは、相次ぐ対外戦争や王侯貴族の贅沢により国家財政が破綻寸前となった。新たな大規模..
『(日本人)』橘玲 [2016/08/17 23:45]
前半は日本人論。武士道や和の精神は日本人に特有なものではなく、日本は最も世俗的な社会であるとの分析には目から鱗が落ちる。後半は民主制などの社会制度やグローバリゼーションがテーマ。 世界価値観調査の中で、日本人が他の国々と大きく異なっている項目は、「進んで国のために戦う」(15%、先進国で最低)、「自分の国の国民であることに誇りを持つ」(57%、香港に次いで2番目に低い)、「権威や権力は尊重されるべき」(3%、最低)の3つ。 私たちの周りには、家族や友人などの政治空..
『右傾化する日本政治』中野晃一 岩波新書 [2016/08/08 23:45]
日本の政治の歴史を政治的立ち位置を切り口にしてたどる。かつて主流を占めた開発主義と恩顧主義の旧右派が、世界的な流れを受けた新自由主義と、アジア・歴史問題への対応をめぐって台頭した国家主義に代わっていく経緯がわかりやすい。 西洋の近代化の歴史では、絶対王政や封建主義から個人を解放しようとする中産階級(ブルジョワジー)が自由主義を担った。このうち、アダム・スミスは政府の介入を拒絶する自由放任の経済的自由主義を唱えたが、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて貧困や暴力がは..