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『(日本人)』橘玲 [2016/08/17 23:45]
前半は日本人論。武士道や和の精神は日本人に特有なものではなく、日本は最も世俗的な社会であるとの分析には目から鱗が落ちる。後半は民主制などの社会制度やグローバリゼーションがテーマ。 世界価値観調査の中で、日本人が他の国々と大きく異なっている項目は、「進んで国のために戦う」(15%、先進国で最低)、「自分の国の国民であることに誇りを持つ」(57%、香港に次いで2番目に低い)、「権威や権力は尊重されるべき」(3%、最低)の3つ。 私たちの周りには、家族や友人などの政治空..
『右傾化する日本政治』中野晃一 岩波新書 [2016/08/08 23:45]
日本の政治の歴史を政治的立ち位置を切り口にしてたどる。かつて主流を占めた開発主義と恩顧主義の旧右派が、世界的な流れを受けた新自由主義と、アジア・歴史問題への対応をめぐって台頭した国家主義に代わっていく経緯がわかりやすい。 西洋の近代化の歴史では、絶対王政や封建主義から個人を解放しようとする中産階級(ブルジョワジー)が自由主義を担った。このうち、アダム・スミスは政府の介入を拒絶する自由放任の経済的自由主義を唱えたが、19世紀の終わりから20世紀の初めにかけて貧困や暴力がは..
「憲法は誰のもの?」伊藤真 岩波ブックレット [2016/01/06 23:45]
現政権が改憲で何を目指しているのかを知るために読んだ本書は、そもそも憲法とはどういうものか、人権とは何か、といった根本から説明した上で、自民党の草案について評価しており、コンパクトながらも論点がしっかり整理されている。 憲法は、守るべき価値を定めて国家権力に守らせるためのもの。筆者は、法律と憲法では矢印の方向が逆だと説明する。人には誰にでも生きていく価値があって、それはみな同じである。立憲主義は、すべての人を個人として尊重することが究極の目標である。現行憲法99条では、..
「政権交代とは何だったのか」山口二郎 岩波新書 [2015/12/29 23:45]
著者は政権交代推進の立場のようで、民主党にはややひいき目の姿勢も感じられるが、3年間を振り返って評価する観点からは論点がわかりやすくまとめられている。 自民党政治では、公共事業補助金、護送船団方式による業界保護が中心で、行政指導や補助金の箇所づけといった裁量的政策が最もよく発揮された。競争力の弱いセクターで雇用が確保されることによって、貧困、失業のリスクから守られたり、「国土の均衡ある発展」のスローガンによって、空間的・地理的な平等が進められた一方、ルールのない裁量的政..
「誰が小沢一郎を殺すのか?」カレル・ヴァン・ウォルフレン [2015/12/16 23:45]
孫崎享「戦後史の正体」を読んで関心をもったもの。発行は民主党政権菅内閣時代の2011年3月。さらっと読めそうだと思ったが、日本人の伝統的な行動にまで踏み込んでいて、結構読み応えがあった。 著者は、日本には憲法も法律もあるにもかかわらず、実際には慣習や不文律の上に成り立っているという。日本には、独り歩きする権力システムに対して異議を唱え、改革を加えようとする者を阻止する仕組みがある。日本の官僚は、日本の非公式な政治秩序を維持するために、自らが法を支配し、法律を権力システム..
「自由と民主主義をもうやめる」佐伯 啓思 幻冬舎新書 [2015/09/06 23:45]
長い間、この本の刺激的なタイトルが記憶に残っていて、内容も興味深かったので読んでみた。ところが、本文では「民主主義や個人の自由も基本的には大事」とあって、だまされた感はある。ただ、前半の2章までは、保守と左翼の本来の意味、日本における左翼と保守の変遷、アメリカの保守がヨーロッパの保守とは異なることが丁寧に整理されていてわかりやすかった。 冷戦時代、左翼は革命を起こして社会主義を実現しようとする反体制派で、保守は自由主義的な資本主義を守ろうとする体制派だった。しかし、冷戦..