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『オリエント世界はなぜ崩壊したか』宮田律 新潮選書 [2017/05/26 23:45]
中東・イスラム地域の通史だが、特にオスマン帝国の末期以降は詳しく書かれている。 ゾロアスター教は、紀元前1000年頃、イラン高原東北部(あるいはカザフスタン)で生まれた。最初に天と水が、そして世界は水の上に創造された。創造主であり全能の神アフラ・マズダーと、それと対立する破壊霊アンラ・マンユが存在する善悪二元論。善悪の判断は各自に委ねられるが、最終的には神によって裁かれる。背景にはメソポタミアの混乱があったと考えられ、多彩な民族、宗教が衝突する争いを、善行という最低限の..
『日本文明と近代西洋』川勝平太 NHKブックス [2016/10/22 23:45]
幕末の開国当時、国際的に取引されていた主要商品は、すべて国内で自給できていたことが、自由貿易でも日本がアジア中枢部との競争に勝つことができたという内容。銀の流出を止めるために商品の国産化を推進して成功し、鎖国をしていたにも関わらず国内の経済は活性だったことがわかる。 中世末から近世初期にかけて、日本とヨーロッパは多くの物産を、それ以前からアラビアから中国まで広がっていたアジア貿易圏から輸入した。ヨーロッパが提供できたのは、武器とラテン・アメリカから掠奪した金銀しかなく、..
『【図説】「資源大国」東南アジア』加納 啓良 歴史新書y [2016/08/09 23:45]
東南アジアのコーヒー、サトウキビ、天然ゴム、ココヤシ、アブラヤシを取り上げる。ヨーロッパの海洋進出以降、これらのプランテーションが次々に開発されていき、モノカルチャーによる商品経済に組み込まれていった歴史がコンパクトにまとめられている。 1619年にバタビアに根拠地を築いたオランダ東インド会社は、18世紀にはジャワを中心に領土支配を広げたが、そのための出費がかさむなどして経営が悪化し、18世紀末には解散に追い込まれた。イギリスによる占領と返還の後、1830年からはジャワ..
「世界史の極意」佐藤優 NHK出版新書 [2015/12/26 23:45]
現在の世界情勢を理解するために歴史的背景を探るというスタンスで、資本主義、民族・ナショナリズム、宗教に絞って流れを概観している。 <資本主義> マルクスは、資本主義社会の本質は労働力の商品化であると考えた。労働力の商品化には、自由に移動でき、土地や生産手段を持たず、労働力を維持するための生活費、労働者階級を再生産する養育費、時代の進歩についていくための教育費をまかなうことができる賃金を得る必要がある。 近代資本主義は、15〜16世紀のイギリスで始まった。ヨーロッ..
「世界共和国へ」柄谷行人 岩波新書 [2015/11/21 23:45]
資本=ネーション=国家の接合体から抜け出し、世界共和国への道筋を探るという、まさに大胆な考察。マルクスやカントの思想が登場するので、門外漢にとっては理解を超えている。しかし、人間と人間の関係を交換様式で分類するところから始めて、国家や商品交換の成立の歴史をたどるのは、人間社会のあり方とその歴史を理解するという意味でおもしろい。 人間と人間の関係としての交換様式は、4つに大別される(p21)。 A.互酬(贈与と返礼) B.再分配(略取と再分配) C.商品交換(貨幣と..
「仕事に効く 教養としての「世界史」」出口治明 [2015/04/23 23:45]
西洋、中国、イスラム圏を中心に、歴史の要となるテーマを取り上げているような内容。鉄器の普及と思想家の誕生、テュルクの西方移動と支配の歴史、「保守」の思想が誕生した経緯、アヘン密輸に対峙した官僚が明治維新に与えた影響といった歴史のつながりがおもしろかった。 中国の周王朝は青銅器をつくって文字を書ける職人を囲い込み、貢物を持ってきた相手に贈った。BC770年に西周が滅ぶと、職人や書記たちが諸国に拡散したため、青銅器に書かれている内容を知ることによって周を崇めるようになり、こ..