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「大学生に語る 資本主義の200年」的場昭弘 祥伝社新書 [2016/02/09 23:45]
著者はマルクスに関する著書を多数書いている方。3章の「民主主義と個人主義」が読み応えあった。所有権を認めることによって成り立つ資本主義が、キリスト教の思想や秩序を背景としていることが分かりやすかった。 キリスト教は、聖書をどのように解釈するか、神の真意をどうはかるかを求める経典宗教。文字を読み、史料を批判する行為から西洋合理主義が生まれた。ユダヤ教やイスラム教は、日常生活が信仰の場であったため、学問は生まれなかった。 ヨーロッパの封建社会では、キリスト教徒は死ぬ直..
「世界史の極意」佐藤優 NHK出版新書 [2015/12/26 23:45]
現在の世界情勢を理解するために歴史的背景を探るというスタンスで、資本主義、民族・ナショナリズム、宗教に絞って流れを概観している。 <資本主義> マルクスは、資本主義社会の本質は労働力の商品化であると考えた。労働力の商品化には、自由に移動でき、土地や生産手段を持たず、労働力を維持するための生活費、労働者階級を再生産する養育費、時代の進歩についていくための教育費をまかなうことができる賃金を得る必要がある。 近代資本主義は、15〜16世紀のイギリスで始まった。ヨーロッ..
「ポスト資本主義」広井良典 岩波新書 [2015/12/02 23:45]
著者は、福祉などの公共政策が専門のようだが、学生時代には科学哲学を専攻していたらしい。そのためか、資本主義の歴史を科学史とのアナロジーで論じるなど、難しい部分もある。しかし、人類史を含む様々な分野の書物を紹介して俯瞰的な議論を展開しているので、学ぶところは多かった。 人類史は、拡大・成長の時代と定常化の時代のサイクルを繰り返してきた。農耕が始まって以降の拡大・成長期が続いた後、紀元前5世紀頃に世界各地で普遍的な思想や宗教が同時多発的に生まれたのは、農耕文明が資源・環境制..
「国家の存亡」関岡英之 PHP新書 [2015/11/17 23:45]
著者は銀行員を勤めた後、独立した方。4年前の民主党政権時代に書かれた本だが、タイトルがわかりにくかったのでTPPがテーマとは気がつかなかった。TPPはもう妥結してしまったが、国民の代表である国会の批准はこれからだから、まだ読む価値はあるだろうと思った。 1989年の宇野・ブッシュ会談で合意されて、日米構造協議が2年間行われた。1993年の宮澤・クリントン会談で日米経済包括協議を合意したのを受けて、年次改革要望書が翌94年から開始された。95年からは保険分野の市場開放を目..
「日本の盛衰」堺屋太一 PHP新書 [2015/10/01 23:45]
10年以上前の本だが、状況はほとんど変わっていない印象を受ける。昭和16年体制、戦後の改革を経て、官僚主導・業界協調体制、規格大量生産、画一教育によって高度経済成長を遂げたが、1980年代に世界が多様化、情報化、省資源化の方向に変化し、途上国の工業化によって日本経済は閉塞状態に陥ったという歴史の流れはわかりやすかった。 1920年代には普通選挙が開始されるなど民主主義が進んだ。しかし、1923年の関東大震災によって被災した企業の手形が不良債権となって金融恐慌が起きたため..
「変わった世界 変わらない日本」野口 悠紀雄 [2015/07/14 23:45]
IT革命や中国の工業化が進んだ1990年代以降の世界経済の変化を解説し、日本が取り残された原因とその改善策について提唱している。 1970〜80年代は、日本やドイツの工業生産が進んだため、アメリカやイギリスの経済は停滞した。サッチャーは民営化と規制改革を進め、レーガンも税制改革を行って経済が復活した。IT革命によってコストが劇的に低下し、海外アウトソーシングや水平分業への移行が進んだ。イギリスではビッグバンと呼ばれる金融の規制緩和を実施したことで、シティに外資系金融機関..